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2001年10月31日 広島県 M.N様


 やっと自分に合う音を見つけた

 ここといった特定の店が決まらないまま、いろいろなお店と広く浅く付き合っておられたM.N様とは、かれこれ10年近く前から面識はありましたが、ケーブル関係をたまに買って頂く程度でした。それが1年程前から急に、カイザーサウンドが彼にとってメインのオーディオショップになったみたいです。

 そこの所を素直に「どうしてカイザーになったのですか?」と尋ねましたところ、何度も通う内に「他のお店とは違って、良い音を出していたから」、それと何よりなのは、「一本筋の通った理念」と、「研究熱心なこと」にも惹かれたとのこと。

 今まで彼には、私の方から物を薦めたことが無かったのに、ある日突然、「良いスピーカーがあるけど聴いてみる?」と言うと、「是非聴いてみたい」となりました。音は良いのだけれど知名度が無いために売れないから、安く処分するという案内があったものです。私も未だ聴いていませんので一緒にそれでは聴きましょうという事になりました。

最終的に組み上がったシステム、これで振動面においては完璧です。

 スピーカーはAlianteのZETA

 そのスピーカーとは、イタリア製のAlianteというメーカーのZETAという2ウェイのコンパクト高級スピーカーです。フェラーリ、アルファロメオ、フィアット、プジョーといった車のデザイナーとして有名なPininfarinaのデザインです。側板は天然木を使った曲線フォルムがとても魅力的です。音はというとソナース・ファベルのような気品と潤いも持たせながら、ハイスピードでアグレッシブな音も聴かせます。正直言ってこのスピーカーには驚きました。文句なしに特級品です。

 専用のスタンドの設計

 彼が購入を決心するのに5分も掛からなかったでしょう、それぐらい素晴らしいバランスで鳴るのです。定価はペアーで560,000円もする高級品ですが、それを破格の値段で案内させて頂きました。カタログを見る限りに於いては、専用のスタンドはあまりにもデザインに懲りすぎていて、間違いなく音は悪そうです。「カイザーさん任せるから、特注で音の良いスタンドを作って下さい」と、頼まれましたので快く引き受けました。こういう仕事はやり甲斐を感じる上に、出来上がった時の音を聴く楽しみはまた格別です。

ZETA用純正スピーカースタンドVELA

 そんな訳で写真のようなスタンドが完成致しました。これで一気に欲が出てきたM.Nさんは、インシュレーターも数回に別けて2〜3ヶ月で、あっという間に全コンポにPB-REXシリーズを27個とスパイク受け専用のPB-JR(H)を12個揃えてしまいました。

 この時点では、私は彼の家にお邪魔した事はなく音の変化についても報告を聞くだけでした。その音が良くなって行く過程が楽しくてならないという感じは良く伝わっては来ましたが、如何せん床が畳なもので自ずと限界があるのは解っています。手っ取り早い方法としてオーディオボードを敷くという手もありますが、費用のわりには根本的な解決にはならないし・・・。

Alianteのスピーカー(ZETA)に合わせてデザインしたスタンド

 サウンドフロアーを導入

 そこで私は、思い切って「カイザーサウンドと同じサウンドフロアーを導入したらどうですか?」と、いうと。考えてもみなかった事を薦められたものですから、彼もビックリしたように「いくらする〜ん・・・?!高いでしょう?」。計算してみないと解らないけど、「悪いようにはしませんよ」。

 ここまで振動について投資をしたのなら、それらが最大の力を発揮するように「納得がいくまで根こそぎやられたら如何でしょう?」。私もお客さん宅での施工実績があれば、これを機にこのサウンドフロアーをキットとして是非商品化したいと思いますので、今回は特別に工賃を頂かず「勉強と思ってやらせて頂きますよ」。

 そんなやりとりのうちに、話はトントン拍子に決まりました。最後の話の締めくくりに「コルセットを買っといてよ〜!」と大きな声で言うと、彼は”キョトン”として「どうして・・・?」と口をあんぐり。あんまりにも音が良くなって、「腰が抜けたらいかんから」というと、変に素直に「うん!解った!」。

 人一倍音楽に敏感なM.Nさん

 彼は大学でも音楽(特に声楽)を勉強していたクラシック通の耳達者ですから、いい音に出会った時には人一倍喜びを感じるみたいです。オーディオ的にはサッパリの所がありますが、それゆえ音楽の受け止め方は一般の人とは違った感性を持っているので、私なども教わる事が沢山あって普段から勉強させて頂いております。

 工事の方は二人がかりで6時間ほど掛かりました。なにせ部屋が少し歪んでるものですから、どちらの辺に合わせても必ず最後に空いてくるのです。こんな微調整をしながらでしたので大変でした。

 苦労の末に完成した結果は見事な出来栄えのものです。”さぞかし、良い音がするでしょう”予感がしてきます。しかし、今日の所はとりあえず機材をラフにセットして、全てが馴染んで来る2週間後位にもう一度完璧なセッティングをすることで20〜30分だけ音出しをしました。

完成したサウンドフロアー

 「スゴイ!スゴイ!」を連発

 音が出た瞬間!彼は満面に笑みを浮かべ「スゴイ!スゴイ!」を連発。根こそぎ鳴り方が変わったみたいです、私にとってはこの部屋に於ける畳の状態の時の音は知らないものですから、比較するものはいつも自分が聴いてるローゼンクランツのリファレンスの音になります。

 すぐに気になったのは高域が詰まって濁りのある汚い音です。静特性の良い製品にありがちな音=よく見るとCDが初期の頃のモデル(アキュフェーズDP-80、DC-81)ですから、これではいかんともしがたいのは理解出来ます。それでも彼にしてみれば信じられないくらい音抜けが良くなって聴き易くなったと言います。とにかく次回仕上げの仕事が終わった後の音を楽しみにしていて下さいと言って失礼しました。


二度目の訪問 2001年11月10日


 今日は真剣勝負の日

 サウンドフロア-の残りの工事と精密なセッティングの日がやってきました。今回の仕事は、私にとっては重要な意味を持つ真剣勝負です。それは、今まで口を酸っぱくして言って来た「電気の時間軸」と「振動の時間軸」の「集大成」を実際にお客様宅で証明して見せなければなりません。

 カイザーサウンドの試聴室では商売上沢山のスピーカーがサウンドフロアーの上に置いてあります。これが振動の邪魔をしているのは解っているのですが狭い店内ではどうしようもありません。

 最大のエネルギーを取り出す為には、振動を嫌うのではなく、振動のモーメントを揃えて充分に「しならせてやる」ことです。間違っても暴れてはいけません。

 「爆発」と「減衰」を繰り返すメカニズム

 その為には、スピーカーからのエネルギーを素直に受け止め、床にリアルタイムで逃がし(伝え)て、両者が一緒に呼応しながら「爆発」と「減衰」を繰り返すメカニズムを構築させてやる事が、「力強い音」と「美しい響き」を生み出す最も有効な方法です。これがローゼンクランツの考え方=「振動性善説」です。

 事前にスピーカーの理想の位置を決めた後、床材の前後の長さを導き出します。今回は1200mmに決定しました。

 サウンドフロアーの中心にスタンスを

 それを実現する為には、「音楽情報電気振動エネルギー」の発生源であるCDプレーヤーやアンプをセットしたオーディオラックを、先ずサウンドフロア-の中心にスタンスをシッカリと決めてやります。それらを支えるサウンドフロア-は中央部を固く(幅の狭い材料)してあり、また左右に音の拡がりをもたらすように次第にその幅は広くなっていきます。勿論それらの理論に従ってスピーカーの配置も床材の前後の中心に決めてやります。また、その豊かな音を生み出すもう一つの縁の下の力持ちの根太材に至っては、普通の倍の太さの材料(米松)を倍の数使っていますから全くといっていいほど不要共振はありません。更に凄い事には、それらを止めるネジ釘もハードメイプルの強さに負けないステンレス製(方向性を揃えた物)を今回は使用する拘りようです。

強靭な振動設計の根太材 左右に広がっていく構造の床材

 レーザーセッターでセッティング

 最後の仕上げにエアーボウのレーザーセッターを使って完璧にセッティングします。先ず水準器にてスピーカー自身の水平をとり、その後左右のスピーカーの距離を測り、角度については水平と仰角を念入りに合わせます。

 小さくではありますが弦楽器の音を出しながら追い込んでいきますので、次第にピントの合ってくる様子が心地よい揺らぎとなって耳に入ってきます。念には念を入れて、各インシュレーターの(A)マークの向きを再度確認して、これで全てはO.Kです。

レーザーセッターでのピンポイント調整

 ジャン・オッフェンバックの曲を聴く

 「さぁー出来ました!何から聴きますか?お好きな曲をどうぞ!」。そこで彼が最初に選んだ曲は「パリのよろこび」ジャン・オッフェンバックの「パリの生活」、「天国と地獄」、「ホフマン物語」、「市場の女たち」等、有名な9つのオペレッタを使ったバレー音楽。

 編曲:マニュエル・ロザンタール、指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン、演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。ほどよくして、曲の途中でいきなり強い大太鼓の音が鳴るのですが、その迫力はコンパクトな2ウェイのスピーカーでありながら、紛れもなく38センチクラスのものです。

 マランツのアンプPA-01を聴く

 その音に、居ても立ってもいられなくなった様子の彼に、今日のもう一つの目的、それは以前から私がべたほめのマランツのアンプPA-01を聴いてもらう事です。15万円の価格でありながら100万円までのアンプであればNO.1と私が断言したアンプです。いかなる鳴り方をするのか私も自信はありましたが、大風呂敷を広げている関係上少し”ドキドキ”してきました。もしも、良い音で鳴ってくれなかったらいい加減な奴と烙印を押されてしまいかねません。

カラヤンが指揮するバレー音楽名演集

 彼愛用のアキュフェーズE-305Vからつなぎ替えての試聴です。’71年録音もの、カラヤン全盛期のものだけあって大変華やかな演奏、運動会の「借りもの競争」の時には欠かせない曲、「タ・タ・タ・タ・タ〜ン♪・タ〜ン♪、タ・タ・タ・タ・タ〜ン♪タ〜ン♪」とにかく「ウキ!ウキ!」、「ワク!ワク!」。

 自分のアンプを箱詰めし始めた

 このノリは、「走っている光景が見えてきそう」です、みんなの「笑いが聞こえて来そう」です。この鳴り方を聴いた彼は10秒ほどで奧の部屋の方へ行ってしまった。なにやらゴソゴソと音がする、何をしているのかな?と、思ったらアキュフェーズの空箱を持ってきて箱詰めを始めたではないか。

ものの10秒で購入を決めたマランツのアンプ

 AC-4EX(Perfect)と一緒にPA-01を購入

 このまま置いて行って下さい。このアンプはスゴイです。そしてこのケーブルも一緒に貰います。ちなみにこの時に使用したACケーブルはローゼンクランツの最高級モデルAC-4EX(Perfect)178,000円です。「何と!アンプよりACケーブルの方が高い!」私でもこんな買い方は度胸がありません。

 それも純正のケーブルとの比較試聴もしないでですから、恐れ入りました。「そうです!、忘れていました!」。彼にはもう既に、電源タップと一緒にそのパーフェクトモデルを買って頂いていました。そんな事で、そのケーブルの能力と価値観は嫌というほど知っていたのです。

 合唱のフォルテ時にも音が破綻しない

 彼はあっという間にアンプを箱詰めして片付けてしまいました。その次に特に聴いてもらいたかったのは、大合唱になっても決して音がつぶれないし、破綻しないところです。

 そこで選んだディスクはモーツアルトの「レクイエム」、同じく指揮:カラヤン、演奏:ベルリン・フィル’75年録音。たいがいのアンプはこの曲をかけると何を歌っているのかさっぱり解らなくなるのですが、朗々と気持ち良くハッキリと聴き取れます。結局私が言うところの「電気の時間軸」と「振動の時間軸」が合っているからにほかありません。

カラヤンが指揮するレクィエム ニ短調 K.626

 ごまかしのきかないチェックCD

 次に選んだディスクは日頃私がオーディオチェック用に使用しているものです。ジャケットの表紙にありますU字型に3回ほど曲げた普段我々が見かけないセルパン(蛇)という楽器、これはチューバの前身と言われていて、木と皮で出来ている物で理論上は金管楽器になります。通奏低音を受け持つ楽器として(17〜18世紀)あたりに活躍したのですが、その後チューバに取って代わられ、19世紀頃には姿を消していた物です。

カイーザーサウンドのチェックCD

 その音には独特の異次元的浮遊感があり、癒されます。そんな輪郭と音程の甘い中に、一転して鋭い切れのある打楽器が次々と入ってきますので、その両者の織り成すコントラストによって、何とも言えないエアロスペースを体感する事が出来ます。

 特に6曲目の金属打楽器の瞬間に炸裂する音は、身震いするほどのリアリズムです。このトラックをかければ、アンプ、スピーカー、CD、或いはインシュレーター、ケーブル等の能力がひとたまりも無く一瞬のうちに暴かれてしまい、音の立ち上がり、エネルギー、情報量、余韻等、何をとっても一切ごまかしはききません。

 カイザーのオーディオチェックCDを1枚選べと言われれば迷わずこのディスクです。ご希望の方は1枚3,000円(消費税、送料込み)にて特別販売いたします。詳しくはメールでお問い合わせ下さい。

 「政振」の考え方を証明する

 サウンドフロアーを核にして、「政振」という振動に対する私の到達した考え方を音にして証明する瞬間です。イメージと計算の上では完璧のはず、いつものようにいきなり6曲目をダイレクトに選曲してPLAY、・・・寸分の狂いなく、音の一瞬の炸裂音をキャッチしています。

 「それも絶対量を失わず」、音の消え際のこれまた美しい事、「いつまでも鳴り響いています・・・、まだ鳴っている・・・・、まだ聞こえる・・・・・」。瞬間の基音を捕まえているから、超高域まで再現出来ています。一般に良く見かける振動のモーメントが揃っていない所に、100KHzまで再現出来るスーパーツイーターを持ってきたものより遥かに自然でよく伸びています。完璧な出来に、やり遂げたという「充実感を憶えます」。また、好きな事を仕事に出来た喜びも感じる時です。

 ローゼンクランツの真空管アンプを試聴

 つづいてこの後には、将来彼が買う予定のローゼンクランツの真空管アンプ式プリメインアンプ、A-30IN(780,000円)の試聴です。今まで聴いたディスクを一通りもう一度聴き直していくのですが、パッと聴きにはアンプが替わったという印象は受けないぐらい鳴り方のバランスがそっくりです。

 それもそのはず、どちらも無帰還アンプですから音に滲みが無く、伝わってくる音楽表現がリアルなのです。しかし、じっくりと聴きますとやはり真空管アンプの良さが、特に人の声を聴いた時にハッキリとした違いが出ます。それにしてもやはりこのPA-01は大したアンプです。改めて私の判断は間違いなかったと確信を持ちました。

ローゼンクランツのインテグレーテッドアンプ A-30IN

 ラックと床の「振動の時間軸」が揃う

 この度の「サウンドフロアー」と「オーディオラック」の導入により彼のシステムは既に購入済みの「スピーカースタンド」とを併せますと、全ての機器が同じハードメイプルによって構成される事により、完全に「振動の時間軸」が揃った事になります。

 勿論そうした「物理的な能力」と同じくらい大切な事として、「音色の統一感」というものが「リアルな音楽再生」を実現する為には欠かせない要素でもあります。かくして彼のシステムコンディション、特に振動面に於いては完璧なものとなりました。恐らく私が知る限りに於いてその面では日本中でも1、2でしょう。

 現在の電源環境=オーラルシンフォニクス、ローゼンクランツ、オーディオリプラスとこのように混在しておりますので将来は電気の時間軸をスッキリと揃えたいものです。

 そういった意味では、この最近ACパワーディストリビューターの「ナイアガラ」のところで、「オーディオにおける異種格闘技論」という事を発表致しましたが、この度のサウンドフロアーの導入によって得たものは、費用対効果に於いて何百万のアンプやCDプレーヤーをもってしても、得がたい音楽そのものの喜びをもたらしてくれたことは、これまた「ナイアガラ」に勝るとも劣りません。

ACパワーディストリビューターNIAGARA

 床のスーパーウーハー的効果

 特に今回私が注目していた事は、振動の時間軸を徹底的に追い込み、振動のモーメントを揃えて「音楽電振エネルギー」を最大に取り出してやった時に出て来る、「床のスーパーウーハー的効果」の確認でした。これは完全にイメージどおりになりましたし、そして、その効果との表裏一体の関係にあります「超高域の再生」という事もこの度確認出来た事は大きな収穫でした。


三度目の訪問 2001年11月13日


 畳部分を残すかどうか?

 元々、フローリング仕上げの上に畳を入れていた部屋にサウンドフロア-を導入しました。M.Nさんの希望は出来れば残りの四畳分は畳にしたいと言うものでした。その後、畳屋さんに新たに寸法を測って誂えてもらい、もう一度畳を入れた時の音の状態を見て、フローリングに戻すか、或いはその上にカーペットを敷く方法にするかの判断を今日はする日です。

 10日ぶりぐらいの訪問ですが、マランツのアンプのエージングも進み、ふところの深い豊かな音になっていました。レーザーセッターを使ってスピーカーのセッティングを自分で出来るようになってくださいとお願いしていましたので、あれこれと何度もやられたのでしょう、なかなかいい音になっていました。

真新しくなった畳

 インシュレーターの置き場所は重要

 わずかに、高域にざらついた音があったのが気になりましたが、それは初期型のCDプレーヤー(DP-80、DC-81)のせいで仕方ないものと思っていましたが、スピーカーの下のインシュレーターの置き方が少し内側に入っていたのを調整しますと、「音がガラッと変わり」、腰の座った低音と共にきれいに澄んだ高音が出てきてビックリしました。

 つくづくPB-REX(A)はピンポイントに入ったらすごい音がするものだと怖いぐらいに我ながら改めて感じました。このCDプレーヤーでこんな音が出るのであれば、CECのベルトドライブトランスポートで鳴らした時には一体どんな音になるのか、想像するだけでもワクワクしてきます。

 スピーカーケーブルの断線に気づく

 オーラルシンフォニクスのスピーカーケーブル(シンフォニック・コンダクター・パープルGenU)、これは当社で長いこと酷使していた物をお譲りした関係なのか、信じられない事に基音になる2ミリほどの単線がアンプ側のY端子から2センチほどのところで断線していたのです。

 残りの高域補正用の細い線だけでつながっていた関係上、左側が意識すれば解るくらいの微妙なエネルギー不足がありました。左側が出窓になっていますので、それに喰われるエネルギー不足かなとも思えるぐらいのものでしたが、実際にその部分を修理して左右同一条件になった状態で改めて音を聴きますと、見事なエネルギーが超低域から高域まで素直にきれいに出始めました。

 浄化させるような荘厳なコーラス

 今聴いているのはグレゴリア・チャントですが、その響きの美しさは天井の高い石造りのホールを目に浮かばせ、そして聴く者の心を浄化させるような荘厳なコーラスです。

 「音楽電振エネルギー」が開放感を伴って大気放出されるようになり、ローゼンクランツの試聴室よりはるかに自然で気持ち良く鳴っています。勿論機材の能力からくる音のグレードの違いはありますが、政振作用=(振動のメカニズム面)とセッティングの完璧さから来る音の良さではこちらのほうが明らかに勝っています。

 彼に観葉植物を買っておいてくださいとお願いしたのですが、あまりにも可愛いかったものですから、もう一度私が買いに走りました。

 スパイク受けに掛かる荷重を均一にする

 このあと、更にレーザーセッターでキチンと合わせ直し、スピーカの角度と位置調整が終わった後、スピーカースタンドのスパイク受けのPB-JR(H)にかかる荷重が均一になるように、ひとつづつ確認した後スパナで確実に締めます。これで振動面におけるガタツキが一切なくなりましたので改めて安心です。

 床への音の反射状態の確認

 ひと先ず、畳を敷いた状態の音はこれで確認できましたので、次は畳を取り去りフローリングでの音の確認です。なるほどサウンドフロア-の正面の木口の部分からのエネルギーがさらに開放感よく出て来るようになり、音質は明るく、のびやかで、華やかです。ただ、床と天井面との反射が少し目立つのが気になります。

リスニングチェアーが入ると本格的なオーディオルムーに変身しました。

 つぎは、季節も晩秋に入ってきましたので、二畳大の電気カーペットを敷いての音出しです。吸音材と暖房面での一石二鳥で、今回の3通りの試聴の中では音も一番良い結果になりました。今日はM.Nさん宅の音をかねてより聴きたいといっておられたSさんに手伝い方々同席していただき3人での試聴ですが、全員同じ感想でした。

 オーディオ・リクライニングチェアー

 今回思い切ってサウンドフロア-の導入に踏み切られたM.Nさんには、ここまで思い切られたのですからもうひとつ贅沢をしてみませんかと言って、オットマン付きの最高級オーディオリクライニングチェアー(ドルチェ)の購入をお薦めさせていただきました。最初は贅沢かなと言う気がしていたそうですが、実際に腰掛けてみるといっぺんに顔がほころび、心からリラックスした彼の顔がそこにはありました。すばらしい音楽と雲のじゅうたんに乗っているような心地なのでしょう。

夢見心地のM.Nさん

 これらの棚にある彼の事を一番良く知っている楽譜を初め多くの音楽関係の書物が、彼の手に入れた幸せを一番喜んでくれているかのように私には見えました。

苦学生時代の彼の宝物
 寿司をご馳走になりました

 あまりにも上機嫌な彼は寿司でも食べに行きましょうといってご馳走してくれました。私の高校時代の同級生の店まで案内し3人で音楽談議をしながらお腹一杯食べました。帰りには巻き寿しの土産つきです、よっぽどご機嫌だったのでしょう。

 このあと、彼の頭の中にはまだまだ沢山ビジョンがあるみたいです。音楽の教師をしている彼にとって「音楽は命そのもの」=「一心同体」なのでしょう。


四度目の訪問 2001年12月28日


 CD関係を新たに交換

 CDトランスポートをCECのTL-2Xに、DAコンバーターについては私が数台買い込んでいたマランツのプロジェクトD-1があと残り1台になったのを機にM.Nさんは思い切って交換されました。ちょうど12月初旬の忙しい時でしたので配達が出来ず、ご本人に持って帰ってもらいました。

 両機種とも純正の脚を外して、適切な場所にインシュレーターを設置するようにお願いしたのですが、どうもその事が気になってお伺いすると、案の定おっとり形の彼はDAコンバーターだけ脚を外して設置していましたが、トランスポートはそのままでした。


 インシュレーターの置き方の説明

 早速本体を棚から取り出し、裏返しにして「こういう場所に、このように付いていたのですよ!」、インシュレーターの中心ポイントが機材の端からの距離が違うことによって、一旦端まで行った振動が戻ってくる時間にズレが生じ、エネルギーを阻害し、なおかつ音も濁らしてしまうのです。

 その上使っていない純正の足がこうしてぶら下がっているのですから、このことが音を濁すことになるのは、裏返して実際にその不自然な状態を見ていただければ音を聞かずとも容易に想像していただけます。

 左の写真は見て頂いたとおりインシュレーターの位置が不自然で、右が振動のモーメントがそろった理想の置き方です。

 TL-2Xの純正の脚を外し、丁寧に振動の時間軸の大切さを説明しながら理想のセッティングに追い込んで行きます。今日聴くディスクはアンネ・ソフィー・フォン・オッターの歌曲集の中の《山の娘》(アーネ・ガルボルグ)です。最初は彼女の声が引きつったように聞こえていたのですがドンドンと情報量が増えて生き生きと鳴り始めてきます。

 今日も音仲間のSさんも一緒しています。見る見る美しい彼女本来の歌声に変身していく様子をお二人に確認していただくのですが、如何にセッティングが重要であるか、嫌というほど感じ取って貰ったに違いありません。

みずみずしい歌声を聞かせてくれるオッター

 テープ録音のノウハウ

 また、最近彼のシステムが良くなったのでカセットに録音する音もずいぶん良くなり、世話好きの彼はお世話になっている人や生徒達にテープをプレゼントして大変喜ばれているそうです。そこで「テープに良い音を録るノウハウを教えましょう!」と言うことに相成りました。とにかくノーマルの一番安いテープでいいから用意してくださいといってお願いしたのがソニーの100円の物でした。

 それでは、オッターの《山の娘》を「同じテープで二人で録音して聴き比べましょう!」、最初は彼がいつも録っているようにお願いします。まずテープのバイアス調整をして、ドルビーCを入れてデッキの説明書の指示どおりのレベルで録音を始めました。

 一曲録り終えて、「じゃあ!今度は僕が録りますよ!」。僕の方法はノイズリダクションを一切入れず、まずRECレベルをフルヴォリュームの歪んでいる状態から歪まないギリギリの所までレベルを絞り込みます、もちろんメーターは見ません。目で音を録る習慣がつくと思い込みが入り良くありません。何時如何なる時も耳が命です。

彼が今まで録音していたレベル設定 今回私が録音したレベル設定

 さぁ〜!こうして二人が録音したテープを聴き比べです。彼が録った音は全てが無難な音です。次に私が録った音を聴きますと、最初のピークのところで少しクリップしていますが音楽が生き生きと躍動感を持ってこちらに押し寄せてきます。

 途中でレベルを少し絞りましたが、それでもカセットテープとオープンリールほどの違いがあります。この後、彼が別に録ったメタルテープの音を聴かせて貰いましたが、やはり、安いノーマルのテープで今回録った音の方がはるかに音楽に生命感があり何より聴いていて楽しいのです。

一番高いメタルテープと安いノーマルテープ

 どうしてこのような音の差になって現れるのかといいますと、レンジの広いテープは中音が薄く感じることが大きな理由です。その点ノーマルテープは実際に人間の耳が聴く感じに大変近く、その上エネルギー的に強弱のダイナミックレンジを中心にした録り方をしていることが生きた音楽を感じさせるのです。約10年ぶりにカセットの録音というものをしました。大変懐かしく不思議な感じがしました。



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